• 2019.02.8

未来を示すスウェーデンのサステナブルな食品

サステナブルな食へのニーズは、世界中で注目されているテーマです。その中でも、スウェーデンの消費者は、自分が口にするものにお金を払う準備ができています。環境意識の高いスウェーデンの食品生産業者は、サステナブルな農場経営とオーガニック食品の生産分野において、世界をリードするイノベーターの一員です。
未来を示すスウェーデンのサステナブルな食品

近年、「健康的な食べ方」が話題になっています。オーガニックや地元産、植物由来の食品のマーケットは成長しており、食事や食材購入のあり方を変えています。TechSciリサーチレポートによる最新のレポートでは、2016年から2021年にかけて、世界的なオーガニック食品の市場は毎年14%以上成長すると予測しています。

スウェーデンは、このムーブメントの最前線を行く国の一つです。スウェーデンは地球意識の高いことで知られ、サステナブルな食品業界が成熟しており、消費者は食事が自身の健康や地球環境に影響することを深く理解しています。

サステナブルな食品生産基準が確立

サラ・スンクィストは、800の参加企業からなるスウェーデンの食品業界の代表組織、スウェーデンの食品連合(Livsmedelsföretagen)の政策専門家です。スンクィストは、スウェーデンの消費者のサステナビリティへの長年の注目が、食品生産の方法に大きな影響を与えていると言います。

“スウェーデンの食品は、サステナブルな食品生産の最高基準を満たしています。化学薬品、農薬、抗生物質の使用から、動物の扱い方にいたるまでです。”

スウェーデンの食品連合は、サステナブルなスウェーデンの食品生産をマニフェストに掲げ、エネルギーの使用、食品廃棄、動物保護、倫理的なビジネスといった主要な領域にわたってゴールを示しています。マニフェストは、現在新しい目標を反映すべく改訂が進められています。

“我々は2013年に最初のマニフェストを掲げましたが、この五年間でとても大きく前進しました。さらに前進する準備ができています。”

とスンクィストは言い、新たなマニフェストには効率的なエネルギー使用、農薬や抗生物質の最小限の使用、そして平等で多様な職場に向けた野心的な目標を含める、と続けました。

スウェーデンのサステナブルな食品のイノベーター

Polarbröd(ポーラーブロード)

世界で最もサステナブルな国と評されるスウェーデンは、サステナビリティの領域で多くの産業リーダーを輩出しています。一つの例が、スウェーデン北部にある五代目のパン生産業者、Polarbröd(ポーラーブロード)です。

Polarbröd(ポーラーブロード)は、最小限のリソースを使って、可能な限り良い製品を届けることを探求しています。2012年には、ビジネスの長期的なサステナビリティを確保すべく目標を設定しました。その中には、サステナブルに生産された原料、再生可能で効率的な輸送、再生可能でリサイクルできるパッケージ材料、そして再生可能エネルギーの自給自足が含まれます。2014年には、さらに踏み込んで、再生可能な電力をベーカリーに供給すべく四台の風力タービンの建設に投資をしています。

また、Polarbröd(ポーラーブロード)は、サステナビリティ・アワードUtstickarprisetを創設。独自の道を行く能力を示し、配慮や行動、忍耐を示した勇敢な人々や団体に毎年敬意を示しています。

Löfbergs(レーフベリス)

1995年に、コーヒー会社Löfbergs(レーフベリス)が初めてオーガニックコーヒーをスウェーデンのマーケットに持ち込みました。現在、世界のオーガニックコーヒーの一つです。.スウェーデンに初めてアルミ不使用のパッケージを紹介したことも、Löfberg(レーフベリ)の功績の一つです。また、100%再生可能なエネルギーへ移行すべく過去20年で、エネルギー使用を増やすことなく生産を2倍にしたトップ企業です。

Lantmännen(ラントメンネン)

Lantmännen(ラントメンネン)は農業協同組合であり、農業、機械、バイオエネルギー、そして食品生産の分野における北欧のリーダーです。組合は25,000の農家に所有され、リサーチや事業開発、バリューチェーン全体を通したオペレーションにより、“農場からフォークまで”という独自のポジションを築いています。

Lantmännen(ラントメンネン)のサステナブル開発を率いるクラエス・ヨハンソンによると、会社の主な挑戦は、壊れやすい生態系を脅かすことなしに増加する人口のニーズを満たすことです。

“我々の長期的なゴールは、不可逆かつ急激な環境変化の中で農業生産力を高め、2030年までに北欧地域で化石燃料不使用を達成することです。”ヨハンソンは言います。

このゴールを達成するため、まさに農場からフォークまで、会社はリサーチとイノベーションを通して様々なステップを踏んできています。

“我々は、化学物質の使用を減らしながら作物を保護するための、新たな生物学的メソッドを開発しました。機械はより効率的になっており、テクノロジーは近代的な農業の統合部としてセンサーやAI技術の面で大きな飛躍を遂げています。例えば、我々の生産はグリーンエネルギーに支えられて既に大規模になっており、バイオリファイナリーを通してパンくずをサステナブルな燃料や動物の餌にすることもできます。バリューチェーンを通したイニシアチブを通して、消費者に“Friendlier Wheat(よりフレンドリーな小麦)”を提供することもできます。これは、気候への影響を20%減らし、生物多様性に資する小麦です。” ヨハンソンはこのように説明します。

スウェーデンの農家は、サステナブルな実践の最前線におり、増加するサステナブルな製品へのニーズに応える強力なポジションを築いています。